リタイヤ男のログハウス生活

リタイヤ後に海の近くのログハウスで第三の人生スタート

映画「なれのはて」を観て・・・

観たい映画があったので、先日わざわざ十三(ジュウソウ)まで出掛けていった。


マイナーな映画で、大阪で上映されていたのは、ここ「第七藝術劇場」だけだった。


映画のタイトルは「なれのはて」



フィリピンのスラム街で暮らす日本人のドキュメンタリー映画だ。


映画に登場する4人の日本人は、様々な理由で日本を捨てフィリピンのスラム街で暮らしている。


全員高齢者で、バックグランドは元警察官、元商社マン、元やくざに元トラック運転手。


10年程前に開高健ノンフィクション賞を受賞した水谷竹秀氏の「日本を捨てた男たち フィリピンに生きる困窮邦人」読んだが、映画はこのルポがベースになっている。


開高健ノンフィクション賞受賞作は、私の興味の対象となるテーマが多く、中でもこの本は結構印象に残っていたので、それに関連する映画なら是非観たいと思っていた。


ただ映画としてのクオリティーはイマイチで、本のほうが全然良かったが、スラム街で暮らす彼らの実生活をそのまま撮影しているので妙に生々しかった。


私は東南アジア生活が長いし、フィリピンは何度も訪れていたので、スラムに住んだことはないものの、空気感やリアリティーは伝わってきて、なぜか懐かしさすら感じてしまった。


日本と違いフィリピンには、貧しい人のコミュニティが存在するので、孤独死することはなさそうだし、貧しいなりに周りの人と関わりを持ちながら暮らしていけそうだ。


今の日本の生活困窮者は孤独だが、ここでは住民同士が助けあって暮らしているので、落語に出てくる昔の日本の長屋のような明るさも感じた。


幼い子供が多いからか、そんな生活でも陽気に見えるのはきっと国民性もあるのだろう。


もちろん衛生面含め、生活環境は劣悪なので、たくましくないと生きていけないが、登場した困窮邦人は全員が異口同音に日本には帰りたくないと話す。


また私の持論だが、戦時中や戦後の混乱期がそうであったように、人間はどんな環境下に置かれても、選択肢がないと分かれば最終的にはその環境や生活に馴染むと思う。



日本でも現在ホームレスになっている人は、必ずしも昔から貧しかった人ばかりではない。


大手商社でバリバリ仕事をしていた人や、両親の介護のために仕事を辞め、気づいたら無一文になっていた人も大勢いる。


誰でもボタンを一つ掛け違えたら、そうなってもおかしくない気がする。


私も一歩間違えたら・・・と思うことは時々ある。


私の場合、一人でお金もなくホームレスになったら、さてどうするだろうか?


有り金を握りしめて、今回の映画ように東南アジアのスラム街を選ぶかもしれない。


以前暮らしていたインドネシアにも、同じようなスラム街はたくさんあって、私にとっては日本でホームレスになるより身近に感じる。


何より年中Tシャツと半パンで暮らせるので極端な話、家がなくても凍死することはない。


人生、いくつになっても先のことは分からないし、いろいろ考えさせられる映画だった。


尚、この映画は今週の金曜まで上映していると思うので、興味のある人は是非ご覧下さい。

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