土を喰らう十二ヵ月・・・
土用に丑の日に、何時間も並んで鰻を食べる人の気持ち、感覚が私には理解出来ない。
また唐突だが、食べる鰻は「うなぎ」や「ウナギ」ではなく、漢字の「鰻」が一番うまそうだ。
白崎の「ログハウス」の隣街の御坊市にも、人気の鰻屋さんがある。
以前この「ブログ」でも取り上げたが、確かにここの鰻は絶品で、私は他のお店で鰻を食べなくなった。
7月末の土用の丑の日は、私はお店の前を通っただけだが、猛暑の中、開店前から既に大勢の人が列を作っていた。
その感想が、冒頭のフレーズ。
確かに苦労して手に入れた鰻のほうが、より美味しく感じるかもしれないし、お祭り気分で並んでいるのかもしれない。
それにしても1日ずらせば暑い中、並ばなくても同じ美味しい鰻が食べられるのにと思う私のほうが、おかしいのだろうか・・・。
さて、鰻で思い出したのが、今日の「ブログ」のタイトル。
今年6月、パリから帰国する機内で観た映画「土を喰らう十二ヶ月」で、原作は水上勉の「土を喰ふ日々」だ。
今から約40年以上前の文庫本だが、どうもその本をベースに昨年映画化されたようで、主演は沢田研二と松たか子だった。
水上勉は地味な作家だし、いつどこで読んだのかの記憶もなかったが、不思議と憶えていたので、なんとなく観ることに・・・。
彼は少年の頃、京都の禅寺で精進料理の作り方を教わり、「土を喰ふ日々」は、その経験を元に水上自身が一年かけて再現、工夫した料理を記した、言わばレシピ本である。
原作のまま映画にするのは、地味すぎて難しいと思っていたら、やはり映画らしいストーリーに脚色されていた。
ただ畑で育てた季節の野菜や、裏山で取れた筍や山菜を材料に、心を込めて作られる精進料理や惣菜を映画で観ると確かに美味しそうだし、そこには忘れてしまいそうな日本人の食生活の原点があった。
オシャレでインスタ映えする豪華な料理より、土の匂いが残るシンプルで素朴な料理に、私が魅力を感じるのは、多分歳のせいもあるだろうが・・・。
映画の中の料理は、有名な料理人が監修していたようで「なるほど」と合点がいった。
また、私の「ログハウス生活」と重ね、もう少し工夫を凝らした料理を作ろうという気にもなったが、取り敢えず「鰻」は、近々食べに行こうと思っています (笑)